『理想の音』

きっと、ギターを弾くことが好きな方には、こんな音を出したい!という理想があると思います。理想は様々なジャンルにおいて目標として位置づけられるものであって、努力の指標ともなるもの。

また、決してその道のプロを目指すわけではなくとも、音楽や楽器に触れることは今迄にない自分を発見できる、いわば自分磨きの手段にもなり得ます。

プロもアマもこどももおとなも関係なく、好きになったものには例外なく誰もに理想は生まれていることと思います。

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プロを志して上京してきた私も例に漏れず、理想の音をずっと追い続けてきました。

音楽学校に通っていた時代、周囲には素晴らしいプレイヤーが溢れていて、練習の虫と呼ばれるような人が大勢いました。そんな中、理想は高くも練習嫌いな私は、ウマが合う友人と2人で授業後の空き部屋を使って大音量で何時間も弾いたり、授業の一環で行われる定期ライブに出演しつつ、プロ志向のバンド活動もしていました。

今思えば、なかなか活発なティーンエイジャーだったんじゃないかなと思います。

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ギターを初めて触ってから20年余り。

正直な事を申しますと、今もギターを弾くのが好きですが、たまにお休みしたくなります。そんな時は1人旅をしたり、ドライブをしたり、料理にかまけてみたり・・・。普段の自分を一旦リセットして、趣味を存分に楽しみます。

旅にギターは持って行かないんですか?

と訊かれることがありますが、私の場合は大抵ギターは家でお留守番してもらってます。

というのも、日々音が近くにある生活をしているからか、趣味の中で感じ得るものがとても新鮮なので、そちらに没頭しちゃうんですね。一度ギターを持って行った事がありますが、結局弾かずに終わった経験があってからは持っていってません。持ち歩くにはなかなかハードな荷物ですし。

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こうしてギターを弾いてきて、まさか自分がギターを人に教える立場になるとは思いもよりませんでしたが、今も楽しくやらせてもらっています。これまでレッスンを通じて多くの方とお会いしましたが、ひとりひとりが異なる考え方やセンスを持っている事を直に知ることができました。同じ楽器を弾いているのに、十人十色の音があります。音の感じ方やギターの学び方もそれぞれ違う。それは各々が考える理想に関しても同じことが言えるでしょう。

以前、ある生徒さんと話していた時のこと

「ブルースを道端で弾いて歌う老後が自分の理想です」と話してくれました。

その考えを聞いて、すごく素敵だなと思いました。

ギターを手にして、音を越えた場所へ突き進んでいるわけですね。

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「どうすれば理想に辿り着けるのか。」

「でも根本的に考えて、理想に近づく事はできても辿り着くことなんて出来るのだろうか。」

「仮に理想の音に辿り着いた時、その後はどこへ向かうのか。」

などなど、若い頃は色々と考えました。

結果、一度筆(ギター)を置いた時期もあります。

出口が見えないことを考え始めると、堂々巡りのごとく同じ場所を彷徨う羽目になっちゃうので、こういう突き詰めはおすすめしません。

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良い音を出したい!

これは誰もが共通して持っている理想ではないかと考えています。

知識と技術が身についてくると、無意識のうちに理想が変わってくることがありますが、忘れてほしくないのは”音楽が好き”という気持ちです。

楽しく触っていた分だけ、楽器は上手くなります。

自分が好きな音を信じ続けて、音楽と、そしてギターと良いお付き合いをしていってほしいなと思います。